本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

筆名について

 私は6年前からTwitterで本名を逆さに読んだミオナマジコと名乗っていた。
 ちなみに、まだ6年前には回文とは出会っていないので、後に回文と出会い自分も作るようになるなんて思ってはいなかったから不思議なものである。
 短歌を始める時も、何も考えずにそのままミオナマジコで詠んできたんだけど、どうも、短歌とカタカナのこのふざけた名前がしっくりこない。かといって、本名だと、小島なおさんとか、他にも似た名前の女性歌人がいて紛らわしい。どうしたものかなあ……と考えていた時、私が片想いしている人と、私の名前の呼び方の話になった。
 彼は、私のことをミオナさんと呼んでくれる。
「苗字ではなく名前で呼ばれているようで嬉しい」
と伝えると、彼は、
「ミオナが苗字でマジコが名前だと思っている」
と言う。そして、彼がどういうことか説明してくれるために、澪那本気子と漢字で書いてくれたのだ。
 やや、本気子が昔のヤンキーみたいだけど、私はこの漢字の名前をとても気に入った。澪という字は、私の大好きな小説『みをつくし料理帖』シリーズのヒロインの澪ちゃんの名前と同じ字だし、本気子というのが何事も手を抜けずに真面目な私の性格と、不器用で垢抜けない感じが表れてるのもいい。 
 何よりも、今まで、誕生日の時もバレンタインデーのお返しも何もくれたことのない人が、説明するためとはいえこんな素敵な漢字の名前を考えてくれたことが私にとってはプレゼントのように思えて、いつか、筆名を変える時はこの名前を名乗ろうと心に決めていた。
 試しに、『野性時代』にだけこの筆名で投稿してはみたんだけど、箸にも棒にも引っ掛からないので諦めてしばらく封印していた。
 そして、いろいろあって短歌を辞めようと思ったりもしたんだけれど、やっぱり続けると腹をくくった時に、新年度にNHK短歌の選者が替わるタイミングで澪那本気子に改名しようと決めた。採用されているかはわからないけれど、NHK短歌と、他の短歌の公募は既にこの筆名で投稿してある。

 この筆名を考えてくれた彼には私はすっかり嫌われていて現在は音信不通の状態なんだけれど、二度と彼に再会することはなかったとしても、私はこの澪那本気子という名前を宝物にして、命が尽きる瞬間まで短歌を続けてゆきたいと思っている。