四月の歌(マイブックより)前編
気の利いた嘘の上手な君なのに音信不通の四月一日
朝ドラのヒロインならば辛くても死にたいなんてきっと言わない
別れても出会いがあると言うように桜の後に咲くハナミズキ
憧れの人に初めて会えるから五ヶ月ぶりにゆく美容室
この先もきっと何度も思い出す みじんこ洞で生まれた出会い
東京に染まらぬように生きている身に纏うのは宮崎の海
君の名を禁句にされてより募る抑えきれない胸の想いよ
新しい白いレースの靴を履き歩き出さなきゃ君なき世界
新宮を愛する君を思い出す佐藤春夫の生まれた夜に
体型で女を差別すべからずユニクロみたいな優しさを持て
気にしない上には上がいるんだし下も見ないで前だけを見る
一年半ぶりの釣りへとゆく父に孫のパワーの大きさを知る
美しい人の生活習慣を無駄な努力と思わず真似る
諦めの悪さだけなら負けません君だけが好き灰になっても
女子力はないけどちゃんと知っているマテ茶とルイボスティーの違いを
今年の元旦から毎日1首自由詠の歌を作り、新潮文庫の『マイブック』に書き留めるようにしている。
私は自由詠が苦手なので大変ではあるのだが、今のところ、ちゃんと毎日続いている。
でも、こうして半月ごとにまとめるよりも、毎日発表していった方がいいのだろうか。連作ではないしなあ。