本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「ワンピース」

夏、黒を涼しげに着て、冬、白を暖かそうに着るワンピース。

 

 これは、中学時代に美術と音楽を教えてくださってた順子先生の受け売りである。

「先生は、本当にお洒落な人というのは、夏には黒を涼しそうに、冬には白を暖かそうに着こなせる人だと思うよ」

とおっしゃって、ご自身も真夏に黒いワンピースや、ロングスカートを着てらしたけど、いつも涼しげなお洒落上級者だった。

 他にも、

「この給食の食器っていうのはどうにかならないかね。食器が素敵なだけで給食を残す子がいなくなると思うんだけど」

とおっしゃってたことも印象深い。

 美人で、竹を割ったような性格で、油絵もお上手で、数百万円するという噂の金のフルートを吹かれる順子先生はそれはそれはカッコよくて、ちょっと不良っぽい子たちからも「順子ちゃん」と慕われる人気の先生だった。

 私の弟が音楽教師を目指したいと相談に伺った時も

「とても厳しい狭き門だからやめておきなさい」

と断言されたという、いつも本音で生徒と接してくださった先生だ。

 なかなか、夏に黒を涼しげに冬に白を暖かそうに着こなすのは難しいけど、モノトーンの洋服を買おうとするたびに、いつも順子先生を思い出すのである。