本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

今日の自由詠

ショパンならサンソン・フランソワが好き口説き上手なパリジャンの音

 

 

 10歳から17歳までピアノを習っていた。

 ピアノの先生の家にレッスンに行くと、先生は美味しいお茶とお菓子や、季節の果物などをおやつに用意しててくださって、お話をする間、レコードやCDを聴かせてくださったのだけど、私が14歳の時にショパンの「夜想曲」に挑戦した時、先生が聴かせてくださったのが、サンソン・フランソワのレコードだった。

 私は楽譜が白黒だと読めなくて、全部の音符にドは赤、レは黄色、ミは緑、ファはオレンジ、ソは水色、ラは紫、シは白でそのまま……というふうに、色鉛筆で色を塗ってから左手と右手を別々に練習して両手で練習しないといけない、とても不器用で出来の悪い生徒だったのだけど、先生はいつも可愛がってくださったし、一流の音楽を聴くことの大切さを教えてくださった。

 そんな私も、「夜想曲」を両手で弾けるようになってきた時、よく、先生に

ショパン浪花節のように弾いちゃダメ!もっと色っぽく歌いなさい!」

と注意されたのだが、確かに、お手本として聴いたサンソン・フランソワの音色は色っぽい。フランソワのピアノは、クラシックなんだけれど型にハマってない感じがするというか、肩の力の抜け具合が絶妙なのだ。

 でも、当時14歳で、好きな男の子を遠くから見つめるだけの片想いをしてた私に色気のある演奏などできるわけがなく、やっぱり、演歌みたいな「夜想曲」になってしまったのだけど。