本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「傘」

傘をさす時間も惜しみ抱き合って最後の雨に打たれたかった

 

 

 恋人に別れ話をされるために呼び出されたのは、11月の冷たい雨の日だった。

 5年間、どこに行くにも手をしっかり繋いでいた私たちだったけど、その日、彼の左手が私に差し出されることはなかったし、彼は私と目を合わせてくれなかった。

 この日のことは、今まで何度か歌にしてきたけれど、まだ詠めるものだなあと思う。

 雨は悲しい恋によく似合う。