本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

盗作について

 短歌というのは31文字しかないし、気をつけていないと、他人の短歌と発想が似てしまったり、故意じゃなくても頭の片隅に他の短歌が残っていて、盗作と言われても弁解できない短歌を作ってしまう危険性は常につきまとうと思う。

 去年の10月に私がうたの日で詠んだ歌の一部盗作と思われる歌をたまたま初めて買った短歌総合誌で発見してしまったということがあったのだけど、本人は否定しているし、盗作である可能性とそうでない可能性が半々だったため、それ以上は追及しなかった。

 が、その後、やっぱり、私の基準ではあれは一部盗作と言わざるを得ないし、私なら自分の作品を取り下げるなと思う場面が2回あったので、それを書き残しておきたい。

 1回目は、真篠未成さんとTwitterでいちごつみをしている時に考えたことである。いちごつみという遊びは、自分の前に詠まれた短歌の中から1語だけを選んで自分も歌を詠み次に繋げてゆくんだけど、いちごつみでさえ、2語摘まないように注意を払うのに、短歌の公募の場に応募をする時に、他人の歌と3語も被っている歌を出すだろうか?と思ったのだ。

 2回目は、今年の日課にしている1日1首自由詠の歌を新潮文庫の『マイブック』に記録していた時だった。私は、

本当は君が足りないだけなのに野菜ジュースを飲んでごまかす

という歌を詠んで書いたのだが、どこかで見たことがあるような気がする。たぶん、うたの日かな?と思い検索したら、西村曜さんが、

希望などもろもろ不足してるのを野菜ジュースを飲んでごまかす
というお歌を詠んでいらした。下の句がまるまる被っているし、私は、過去にこのお歌にハートを投票していた。自分でも忘れていたけれど、無意識に一部盗作してしまっていたのである。西村曜さんに対して申し訳ないので、私は自分の歌を作り直した。

 このまるまる被っている下の句も、野菜ジュース・飲んで・ごまかすという3つの単語が同じなのだけど、これが、短歌でなくて俳句だったらどうか?と考えた時、17文字のうち3つも単語が被ってたら完全に盗作といえるのではないかと思うのだ。私が一部盗作と言うのは、短歌よりもさらに少ない14文字の下の句で3つも単語が被るというのは不注意だと思うからだ。もちろん、上の句で3語被った場合もだけど。

 皆が同じお題で詠んでいる題詠で偶然被ったというのは仕方ないし盗作ではないと思う。でも、自分が一度読みいいなと思った歌と被ってしまったなら、本人に盗作のつもりはなかったとしても、不愉快な思いをさせてしまってごめんなさいと謝るのが普通ではないかと思うのだ。

 ネットに載ってない歌というのもたくさんあるだろうし、完全に防ぐのは無理だとしても、自分が他人の短歌と似た短歌を詠んでしまったために相手を傷つけるようなことがあってはならないから、短歌を詠んだら同じような歌がないかネット上だけでも調べるというのを習慣にしてゆきたいと思うし、もし、それでも似てしまった場合は、相手にきちんと謝罪して自分の歌を取り下げるようにしたい。