本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「野」

猫の手も貸してと言えぬ性格で野比のび太にはなれそうもない

 

 子供の頃、『ドラえもん』が嫌いだった。

小学校のテストなんて、普通に授業を聞いていれば家で勉強しなくても0点なんて取ることはないというか、むしろ、0点を取ることの方が難しいだろうに、いつも0点ばかり取っていても何の努力もしないのび太にイラッとしたし、そんなのび太ひみつ道具でいつも甘やかすドラえもんにも腹が立って、アニメはいつの間にか観なくなったし、映画版も一度も観たことがない。

 でも、大人になって、うつ病になり、昨日まで出来ていた当たり前のこと、例えば、料理、洗濯、掃除、整理整頓などの日常生活や、大好きだったはずの読書や、買い物や、人との会話などが突然ピタッとできなくなって、お笑い番組を観てもぜんぜん笑えない自分になって初めて、

「助けて、ドラえもん!」

と素直に甘えられるのび太を羨ましいと思ったのだ。

 いざ、自分が何もできなくなると、ちっぽけなプライドが邪魔をして、こんなダメな自分を誰かに見られるのは耐えられないと思ってしまい、助けてほしいのに助けを求めることができない。

 今は料理と洗濯と買い物はできるようになったけれど、相変わらず掃除や整理整頓ができないので、洗濯物は取り込んだら収納せずに畳の上で山になっていて、そこから服を選んで着ているし、本も万年床の周りに積ん読してて大きな地震が来たら雪崩が起きそうだし、生ゴミだけはなんとかマメに処分しているけど、その他のゴミの処分となると気力がわかず、テレビに出られるほどのレベルではないけれどそうとうなゴミ屋敷である。にもかかわらず、部屋に人を通すのが嫌なので、いつまでも片付かないのである。

 主治医からは

「ヘルパーさんに来てもらってはどうか?」

と提案される生活レベルなのだけど。