本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「ルビー」

七月に生まれて涙もろくてもルビーと月が守ってくれる

 

 私は7月生まれで蟹座なので、誕生石はルビーで守護星は月なのだけど、貴金属や宝石にはあまり興味のない私もルビーにだけは特別な想いがある。

 約束を果たしてもらうことはなかったけれど、幼い頃、父に、

「私が二十歳になったらルビーの指環をちょうだい」

なんて言ってたことがあった。母も、寺尾聰さんの「ルビーの指環」を

「直美ちゃんのテーマソングだねえ」

とよく言っていた。

 27歳の誕生日に、恋人から贈られたプレゼントを開けると、赤いリボンのかかった白い箱にピンクのハート型の陶器のケースが入っていて、蓋を取ると、中には、プラチナのチェーンにダイヤ4粒で作られたお花型のペンダントトップがついていて、アクセントとしてルビーが1粒輝いていた。

 誕生日に誕生石を贈ってくれるというのが嬉しかったし、警察官だけあって逞しい外見の彼がこんなに可愛らしいものを買いにジュエリーショップにゆき、店員さんにいろいろ相談しながら買ってくれたという話を聴いたら、ちょっと可笑しくて、可愛くて、涙が出た。

 あの時は、結婚するとしたらこの人以外は考えられないと思うと同時に、こんなに素晴らしい人に私なんかが釣り合うはずはないという想いもわき上がってきて、たぶん、このルビーが私が愛する人にプレゼントしてもらう最初で最後のルビーになるのだろうなという予感がした。

 彼とお別れして11年が経ち、彼に対する気持ちが愛情から尊敬だけに変わった今も、このルビーのペンダントは大切にしているし、ここぞという時には身につけるようにしている。