「舞ひ踊るをんなたちの裸体」を読んで
第八回中城ふみ子賞の大賞受賞作、イシカワユウカさんの「舞ひ踊るをんなたちの裸体」を拝読した。
事前に、ストリップがテーマの連作だとお聞きしていて、どんな世界が繰り広げられているのだろうととても興味深く、楽しみにしていた。
どのお歌も、生々しいけど美しく力強く躍動感があり、まず、最初に思ったのは、私もストリップを観てみたい!ということだった。
特に好きだったお歌を5首引きたい。
まつしろく光るライトに照らされる手首の傷が華麗に舞ふので
はづむ肉はだのしろさは残酷で微笑む口元幸福と告ぐ
生肉の性といふより生なのだ薔薇の花弁があかあか光る
揺れる皮膚まはる血液あたしはね指の先まであたしのものよ
ウィスキーの空き瓶に挿す一輪は我が子が摘んだと姐さんは云ふ
ストリッパーという、自分の裸を商売道具にして食べてゆく道を選んだ女性たちは、様々な事情を抱えているのかもしれない。けれど、この連作の中で舞い踊る女性たちは実に堂々としていて誇り高くて、舞台に立つことで生きている実感を得ているようである。
イシカワユウカさんといえば、第19回近藤芳美賞の入選作「白いスニーカー」もとても強く印象に残る連作で、こちらでは、主体が女性であるが故に起きた悲劇が残酷さと儚さと美しさを兼ね備えた表現で描かれていて、思わず、涙が溢れ出してきたのだけれど、今回の連作は、女性たちが力強く生きている姿が格好良くて、作者の彼女たちへの敬意も伝わってきて、読み終えて元気になれた。
また、私は普段は旧仮名遣いの短歌があまり好きではないのだけど、日常では体験できないストリップ劇場という特別な空間を表現するのに、旧仮名遣いはぴったりだと思った。
ユウカさんは、何度も何度もストリップ劇場に足を運び、そのたびに短歌を詠み、1年くらいかけて作り上げたのが今回の連作だとおっしゃっていた。
私は、毎日、うたの日で即詠をすることに慣れてしまっているせいか、連作もわりとパパッと仕上げてしまう方なので、ユウカさんのように、これを詠む!と決めたら、じっくり細部まで観察して、時間をかけて丁寧に詠んでゆく姿勢を見習わなければと思った。
語彙も短歌の鑑賞力も足りなくてこの程度の感想しか書けないのが実に歯がゆいんだけど、この連作を読ませていただくことができて、本当に良かったと思う。
改めまして、イシカワユウカさん、このたびは、おめでとうございます!!