うたの日・お題「飲」
ニワトリの大合唱で目覚めたら祖母としぼった牛乳を飲む
子供の頃、日常的に父の虐待を受けていた私は、父から逃れたくて、夏休みも冬休みも春休みも毎年祖母の家で過ごした。
祖母の家には鶏小屋があり、毎朝、鶏たちの声で目が覚めた。近所に牛を飼っているお宅があったので、祖母と一緒に大きな空き瓶を抱えて乳しぼりをさせてもらいにゆき、しぼりたての牛乳を飲んだ。朝ごはんには、鶏の産みたての卵で卵かけごはんを食べた。
今考えると、とても健康的で贅沢な食生活をさせてもらっていたなと思う。
いつも私に優しい祖母と暮らす日々はとても幸せで、最終日にバスで自宅に帰る時、バスが見えなくなるまでいつまでも手を振り続けていてくれる祖母に手を振り返しながら、涙が溢れて止まらなかった。