本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

今日の自由詠

原稿を書くとき勝負服を着た向田邦子をお手本にする

 

 今日、8月22日は、脚本家・作家の向田邦子さんの命日である。

 私が向田邦子さんの作品と出会ったのは、中学校の国語の教科書に載っていた『字のないはがき』というエッセイだった。戦争中に疎開されていた妹さんのエピソードを書かれた家族愛に満ちた内容で、私は授業中なのにボロボロ泣いた。それから、片っ端から向田邦子さんの書かれたものを読むようになって、お父様との関係で悩んでいたり、お料理もお裁縫も得意で、お洒落で、長女らしく世話好きで、大の猫好きで、食いしん坊で、整理整頓は苦手で、私との共通点もいくつかある彼女のことが大好きになり、私の憧れの女性になった。

 向田邦子さんのエピソードのひとつに、仕事の時は勝負服を着るというものがある。原稿を快適に執筆するために、着心地がよく、肩の作りにこだわった勝負服と呼ぶ仕事着 を、よそゆきの服よりもお金をかけて、何枚も仕立てていらしたそうだ。

 私も服は着心地重視ではあるけれど、短歌を詠む時に勝負するという高い意識を持つことが私には欠けているなあと思って、反省した。

 才能もないので挫折して向田邦子さんのような脚本家になることはできなかったけれど、趣味とはいえ、短歌でひとつでもいい結果が残せるように、精一杯頑張らねばと思った。