本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「先輩」

「仕送りはない」と話した翌日にバイトを見つけてくれた先輩

 

 大学時代に尊敬していた先輩が何人かいるのだけど、これは、K先輩とのエピソードを歌にしたものだ。

 私は、大学でどんなサークルに入ろうかいろいろ見学して、迷って、最終的に、創価大学創立30周年学生委員会というところに入った。具体的には、私たち27期生が4年生になる時に大学が創立30周年を迎えるから、学生の手で創立30周年誌を作ろうと、24期生の4年生が中心になって作った委員会で、その委員長がK先輩だった。

 K先輩は、1年生ひとりひとりとじっくり話す機会を設けてくださって、その時、お互いの家庭環境の話になった。

 K先輩は関西創価学園出身で、早々と、大手ゼネコンへの就職が決まっていたけど、本当は、大学院に残って、経済学の研究がしたかったのだと話してくれた。資本主義でもない社会主義でもない人間主義経済の研究がしたかったのだけど、妹も進学させてあげたいし、就職することにした、と。

 そんなK先輩だったから、私も、家庭の事情を詳しく話すことができた。父は病気がちで入退院や転職を繰り返し、ほとんど母がひとりで働いてきたことや、弟も小学校卒業の翌日から毎朝新聞配達をしていること、私も、奨学金の他の仕送りは寮生活の間はないことなど。

 すると、その翌日に、K先輩が、バイト先を紹介してくださったのである。

 残念ながら、そのバイト先はコンビニエンスストアで、私は、持病の腰椎椎間板ヘルニアがあったから、初日にビールのケースを運んでる時に悪化してしまって、行けなくなってしまい、申し訳なかったのだけど。

 中退した大学だし、中退をしていなければ今の私は存在しないから後悔はないけれど、辛かった大学時代にも、K先輩のような心の優しい立派な方は何人もいて、彼らには何の恩返しもできていないなと思うのだ。