本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「台湾」

ピーナッツバナナサンドのレシピだけ伝えて消えた台湾の人

 20代の頃、小さな旅行会社で、ツアーメイトという仕事をしていた。
 ツアーメイトは、観光バスに乗り、バスを安全に運行できるよう気を配りながら、お客様と車内でレクリエーションをしたり、簡単なガイドをしたりといった、バスガイド兼車掌兼添乗員のような仕事だった。
 この会社で一緒に働いていた台湾出身の女性がいて、彼女が休憩中に教えてくれたのが、台湾の味だというピーナッツバナナサンドだった。
 食パンにピーナッツバターを塗ってバナナを1本クルッと巻いてロールサンドにしてもいいし、スライスしたバナナを乗せてもいい。とにかく、これがとても美味しくて、クセになる味なのである。
 彼女はすぐにその会社から去ってしまったので、彼女との想い出はほとんどなく、ピーナッツバナナサンドの美味しさだけが当時と変わらず私の生活の中に残っている。