今日の自由詠
サンタから俳句カルタが届いてた 欲しかったのはリカちゃんハウス
クリスマスの朝、目覚めると、枕元に俳句カルタが置いてある年があった。松尾芭蕉、小林一茶、与謝蕪村の3人の俳句が覚えられるというかなり渋いカルタである。
私は、それを見て、落胆した。私がサンタクロースにリクエストしていたのはリカちゃんハウスだったということもあるけれど、俳句カルタが届いたことによって、ああ、サンタクロースはお父さんだったんだな……とハッキリ気づいてしまったからだ。
その年、私の父は、C型肝炎で長い間入院していた。家にはお金なんてなかった。
サンタクロースがお父さんだと薄々は気づいていながらもリカちゃんハウスなんてリクエストした自分の浅ましさにも腹が立ったし、リカちゃんハウスを買うお金がなくてもなんとかプレゼントを買ってあげようと、たぶん、本好きで国語が得意だった私が気に入るだろうと考えて俳句カルタを選んでくれたのであろうと思って申し訳なさもあったし、いろいろな感情がぐちゃぐちゃになって、私は泣いた。
俳句カルタは、意外と面白かった。特に、小林一茶の俳句は、私の好みで、繰り返し遊んだ。
結局、その翌年の誕生日に、リカちゃんハウスは買ってもらえたけれど、大人になっても、クリスマスのたびにこの俳句カルタのことを思い出す。