平成最後の薔薇
家族だと言われましても弟はひとりいるので間に合ってます
離れても母と私は一体でポテトサラダにりんごを入れる
磯野家を羨んでいる日曜日ひとり官能小説を読む
ひとりだけ見学してるくらいなら泡になりたい小四の夏
正しさを語る資格はないですよ便座の蓋も閉めない人に
ナメクジとデンデンムシとエスカルゴほどの違いで生まれる差別
人生の再起を賭けた面接に執念色の口紅でゆく
床屋へと顔の産毛を剃りにゆく祖母は女だ灰になるまで
「にんげんっていいな」と口ずさんでみる憎らしいとき逃げたいときに
「あの木ごと全部あんたのもんじゃが」と食べ放題の祖母の無花果
バス停のないところでも停車する老婆を乗せた田舎のバスは
オムレツが得意料理になりました君には食べてもらえなくても
外見で値踏みをされる哀しみを蛾ならわかってくれるでしょうか
「おはよう」と今にも夢から醒めそうなあなたの通夜で火の番をする
ティラミスの層をスプーンで崩すかのように優しく乱されている
2018年は、かなり不調ではあったし、うたの日をお休みをした期間もあったけれど、振り返ってみると15回薔薇をいただけていた。
管理人のののさん、いつもうたの日でご一緒する皆様、ありがとうございました。