『クロスタンカ 2』の感想・前編
私が楽しみにしているネプリのひとつに『クロスタンカ』がある。
これは、短歌がクロスワードを解く問題文になっているというユニークなネプリで、短歌をえんどうけいこさん、とわさき芽ぐみさん、髙木一由さん、盤面作成と組版を罅ワレさんが担当している。
今回の『クロスタンカ 2』では、ゲスト歌人として私の大好きな岩倉曰さんを招いたというので、これは面白いのは間違いない!と思って、初日にコンビニで書き込む用に1部、保存用に1部、あまりTwitterを見ていないお友達に配るために3部出してきた。
もう、解答は発表されたけど、まだ解けていない人もいるようなので、ここでは、解答は書かずに感想を書いてゆきたい。
1 髙木一由さん作
解くのに13分かかった。全問正解。
ヨコのカギ
1 これは、かっちゃんらしい優しいお歌だなあと思ったけど、最初、鉄の女という言葉で、イギリスのサッチャー元首相が頭から離れなくて、サッチャーさんのご主人の名前をググってみたりした。
2 これ、お題が難しかったと思うんだけど、よく考えたなあ、と。こういう家族経営の会社に本当にありそう。
3 このお歌はすごく好きで。リア充になれないと言いながら、ひとりを楽しんでいるのがとてもいいなと思ったし、富士そばに行ってみたくなった。
4 このお歌もけっこう刺さる。私が対人恐怖症が酷かった頃、確かに外出時にこれが手離せなくて、実感としてよくわかるなあ、と思った。
5 これは易しいサービス問題。解けない人はいなかったのではないか。
9 これもお題が難しかっただろうなあと思われるんだけど、下の句がとてもかっちゃんらしい。
タテのカギ
1 こういう状況になる時はたまにあるけど、それに寂しさを結びつけるところが独特だなあと思った。
4 句またがりなんだけどちゃんと定型になってることに感心。よく、この言葉をここに持ってきたなあ、と。そして、ロマンチック。
6 これ、今も意味がよくわからない。答えを最初、同じ文字で始まる違う部位の肉を書いていたので、1のヨコが存在しない言葉になってしまったのだった。問題として難しかったのは、ここくらいかも。
7 かっちゃんの担当する問題には、下ネタを入れなきゃいけないというお題係の使命感のようなものを感じた。でも、これ、どうやって持つのか謎。
8 このお歌、めちゃめちゃウザ可愛い。少女漫画に出てきそうな主体だけど、女性読者には嫌われそう。
10 いつかといわず、現在進行形で語ってると思うんですけどね。女性の多くが恋バナ好きですから。
2 とわさき芽ぐみさん作
唯一、間違えたのがとわさきさんの問題。最後までその問題を放置してたので、時間は計っていない。難しかった。
ヨコのカギ
2 これ、wwwwwの部分はどう読むんですかね?音的に。でも、答えを導きやすかった。
3 これは絵を描くとわさきさんらしい、遊び心のある1首だった。子供も好きそうな問題。
4 唯一、不正解だったのがここ。最初の1文字に何を入れていいのかわからなかった。でも、答えを見ても、未だに、どんな歌意なのか私にはよくわからない。
6 このお歌、実によくできてるなあと思って感心した。確かに、この答えのものは、そういう役割があるから、大切なのよね。
7 あらざらむとアラザンで言葉遊びをしているところがとわさきさんらしいし、すごく詩的な下の句が素敵。
10 これもサービス問題。ほとんどの人が解けたのでは。
タテのカギ
1 この答えでハンカチ落としが浮かぶところが素敵だなあと感心した。で、前向きなあなたに対し、主体は真逆な感じのキャラクターなのもいいなあ、と。
5 うわっ!痛そう!!と思った。音が響いて、ますます虫歯が悪化しそうな気がするけど、そんな無茶をしなきゃやってられないという主体には、一体、何があったのだろうか。
7 このお歌は、これしか言葉が入らないだろうと思ったんだけど、シュークリームを思い浮かべてもちょっと状況がよくわからないままである。
8 このお歌はすごく面白い。米であるアイデンティティーには笑ってしまった。
9 この上の句の美しさ。歌人に方向音痴が多いと言われるのは、このせいだったのか?!
11 回文の出来は決していいとは言えないけれど、回文に挑戦しようとしてくれる気持ちが嬉しかった1首。
3 えんどうけいこさん作
10分で解けた。前回もだったけど、えんどうけいこさんは、パズル初心者向けの問題担当として優秀だと思う。
ヨコのカギ
1 円周率で告白されるっていうのが未だによくわからないけど、お題係が数学関係の仕事をしている人だから数学短歌にしてみたのかなと思った。
2 猫が逃げる様子は上の句でイメージできるんだけど、人間でこうなる状況がちょっとイメージしづらかった。
3 これはいい問題。疑ってみることは重要なのです。
4 スピッツ、そんなにたくさん聴いてないけど、ほとんどラブソングなんですかね?だとしたら、すごくよくできた1首。
5 句またがりだけどちゃんと定型。実際、卒論も恋文も枚数で勝負がつくことはないわけで、重要なのは中身だから、ああ、この主体は振られてしまうんだろうなあと感じてせつなかった。
9 これはかなりサービス問題。ここから埋めた人もいたかも。
タテのカギ
1 義母というのがポイントだなあと思って。母の餃子なら、おそらく、それは主体が作る餃子と同じ餃子なのではないかと思われるけど、自分の餃子とは違う餃子を教えてくれる相手としては、いちばん義母がしっくりくる。
4 これ、無言のままの食卓はずっと続いてるんだと思うんだけど、この答えのものを毎日用意してるとしたら、かなり変わった家だと思う。
6 忍者の消えるときのあのポーズをこう言うって初めて知って勉強になった1首。よくこんな変わったお題でこんなせつないお歌にできるなと感心。
7 バーのあれ、私も苦手なのですごく共感した。
8 香水のことは詳しくないんだけど、そういえば、こういう名前の香水があったなと思い出した。でも、この恋人、すごく嫌な性格に見えるんだけど、それを上回る魅力があるから付き合ってるんでしょうね。
10 これも、このお話を知ってる人にとってはかなりのサービス問題だったと思う。
4 岩倉曰さん作
12分かかった。好きなお歌だらけでホクホクした。
ヨコのカギ
1 このお歌、すごく好き。悠々とした広がりのあるお歌だなあと思っていて。電車の中でいい夢が見られそう。
2 これもサービス問題。わかりやすかった。初句と二句が曰さんらしくて、好き。
3 ここはわかったんだけど、わりと考えた。これを優しさの種によく似たって表現するところが素敵だなあと思うし、サラダが食べたくなった。
4 喧嘩の相手が誰なのだろうと想像して楽しくなった1首。料理をしながらも喧嘩をしてるって、なんか可愛いなあ、って。恋人でも、親子でも良さそう。
6 この愛の3という数字が弱気で、控えめで、曰さんっぽいなあと思った。
7 この問題は、私は実家でよくやってたからピンときたけど、わからない人も多かったかもなと感じた。和室のない家もあるだろうから。
タテのカギ
1 これはすごく面白いと思った。確かに、前世でそんなことがあれば、鞄でガードしたくもなるよなあ、と納得。
4 すごく可愛らしい1首。脳内のブラジル人、きっと、恋をしている人の頭の中には住んでいるものなのでしょう。
5 ふんわり畳むっていうのが優しくていいなあと思った。恋人や配偶者の洗濯物を畳むの、すごく幸せそうなことだけど、この答えからこんな素敵な光景を詠めることが素晴らしい。
6 このお歌、大好き。自分の幸せよりも、他の人の幸せについて考えることのできる主体は、すごく素敵だなあ、と。そんな主体の優しさが群がっているこの生き物にも伝わってるんじゃないだろうか。
7 もやしと豚こまという庶民の味方である食材の鍋なのが、上手いなあと思った。たぶん、この鍋を食べている主体はすごく節約生活をしていて、もしかしたら、この答えになっているものとは縁がないのかもしれないし、その広告になってるものが夢で節約をしているのかもしれないなと想像が膨らんだ。
8 このお歌は意味がよくわからないまま答えが出たお歌。この答えってことは、答えの対義語もあるわけで、この主体は一体何を目指してるのだろうかというのが今もよくわからないままだ。
長くなったので、後編に続く。