うたの日・お題「作」
リカちゃんのドレスはどれも手作りで無償の愛に包まれていた
私の母は、毎日、フルタイムで働き、家事も育児もひとりでこなし、バリバリの活動家の創価学会員だから毎日のように会合に出席し、本当に多忙な人だったんだけど、私のリカちゃん人形のドレスをいつも手作りしてくれた。
今思うと、母は、睡眠時間を削って、夜中に作業してくれていたのだが、白いレースを手編みして作ってくれたドレスなんて、小さいリカちゃんサイズとはいえ、大変だったろうと思う。
貧しくて市販のリカちゃんのドレスは買えないという事情もあっただろうけれど、世界に1枚しかない手作りのドレスを何枚も作ってくれるなんて、愛がなければできないことだ。
母は、結婚以来、友達と遊ぶこともほとんどなかったし、外泊も祖母の家にゆくのと会社の旅行くらいのもので、ほとんど自分のために自分の時間を使うことがなかった。それに対する不満や愚痴を言うことも一切なく、いつも、私たち家族をいちばん大切にしてくれた。
母にしてもらったことは、まだ、何も返せてない気がする。もしかして、一生、返せないかもしれないという危機感もある。
こんな母の娘に生まれてこられたことは、とても幸せなことだけど、ある意味、不幸だとも思う。
娘としては充分すぎるくらい愛されて大切にしてもらったけれど、自分が理想とする妻として母としての生き方の手本が母なので、絶対に自分なんかには無理だと思うから、結婚に対して臆病にならざるを得ない。
それでも、母に産んでもらえてよかった。