本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第1グループ⑤梅丘つばめさん

 NHK短歌でも入選されたり、素敵な恋のお歌をたくさん詠まれているイメージのある梅丘つばめさん。傘を詠み込んだお歌にも好きなお歌が何首もあって、どのお歌を引けばいいのか迷ったんだけど、今日引かせていただくのは恋のお歌でも傘のお歌でもないのです。


振袖を言い訳にして写真撮る 喧嘩別れをしたあの子とも/梅丘つばめ 2019年1月14日お題「二十歳になって一首」

 私は、学校でいじめられっ子でもあったし、容姿にも自信がなくて、母が
「振袖を着て写真だけでも撮らない?」
と言ってくれるのを
「お金も勿体ないし、写真が残るのなんか絶対嫌!」
と泣いて拒否し、成人式にも出席しなかったという二十歳でした。
 それに対して、このお歌の主体は、振袖を着ることを心から楽しんでいて、写真もいっぱい撮って、その振袖を、喧嘩別れをしていた同級生との仲直りの小道具として使うというところが機転も利くし、おそらく、二十歳になるまでずっと主体はこの友達と喧嘩別れをしていたことが心残りだったのだろうなと思いました。この成人式をきっかけに、また、この友達と仲良くなれるのだろうなと想像できるし、すごくキラキラした二十歳だなと思って、心の底から羨ましいなと思ったお歌です。喧嘩別れをした過去から現在への時間の経過を思わせる一字空けも効いているなと思います。