本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第1グループ⑥あひるだんさーさん

 私は、ほぼ実際に体験したことからばかり短歌を詠むタイプなのですが、そんな私と真逆の、虚構の短歌を詠み続けて、しかも、それがすごく説得力のある内容で、実際に起こった出来事だと思わせる力のある短歌を詠める人が、あひるだんさーさんだと思っています。特に、あひるだんさーさんが、女性の視点で詠まれたお歌には何度騙されたかわからないくらいです。


この恋が終わったことも知らぬまま元気に跳ねる浴衣の金魚/あひるだんさー 2018年7月19日お題「浴衣」

 このお歌を読んだ時に、主体は、高校生くらいの元気な女の子で、赤い金魚柄の浴衣を着て、恋人か好きな人とお祭りや花火大会デートをしたんだろうなと思いました。失恋したことによりこの主体は少し大人になって、金魚柄の浴衣を選んで着ていた自分も、終わった恋も子供っぽく思えているのではないでしょうか。
 ひとつの恋の終わりと、少女から大人へと変わる年頃の女の子の心の成長を、お題である浴衣を具体的に描写することで絶妙に表現したお歌だなと思いますし、これが男性のあひるだんさーさんのお歌だとわかってひっくり返りそうになりました。
 ジャンルは違うけれど、さだまさしさんの書く歌詞も女性視点のものがかなり多くて、女性の私が読んでも共感できるものが多いし、ユーモアのある笑える歌詞も、すごく深い美しい歌詞もあって、作風が幅広いんですけど、あひるだんさーさんの短歌にも共通しているように思います。