本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第1グループ⑧尾崎飛鳥さん

 尾崎飛鳥さんは、よく『あみもの』やいろいろなネプリに載ってる短歌に、丁寧な評を書いてくださっています。インプットを積極的にされている飛鳥さんのお歌は魅力的で、読売歌壇で飛鳥さんがいちばん好きな歌人だという俵万智さんの選で一席に選ばれたりしているのを見ると、しっかり、勉強した成果を発揮できる人なのだなあと尊敬しています。


この世界に孤独な人がいる限り孤独な人はいないと思う/尾崎飛鳥 2019年8月6日お題「この」

 このお歌は、とても哲学的で、真理だと思いました。
 ドラマ『相棒』の中のいちばん好きな回に「右京、風邪をひく」という話があったのですが、その話の中で西島さんという老人を殺した犯人が、
「真実を暴くことにどんな意味があるんですか?西島さんは天涯孤独なんですよ。亡くなって誰が悲しむんですか?誰が怒るんですか?誰が困るんですか?誰とも繋がっていない人間なんですよ」
と開き直る場面があるんですけど、これを聞いた杉下右京さんが静かに怒るんです。
「誰とも繋がっていない人間など、この世にいるとお思いですか?時には本人さえ知らないどこかで、みな誰かを支え、誰かに支えられている。人間とはそういうものなのではないでしょうかねえ」
と。
 この飛鳥さんのお歌にはその世界観と似たものを感じます。また、孤独を抱えている人に対して、淋しいのはあなただけではないよ、大丈夫だよ、という温かいエールのようにも思えました。