本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第2グループ⑤尾渡はちさん

 最近、うたの日に来られたばかりの人なのに、短歌が上手すぎて、悔しくなるのを通り越してテレビ越しに有名人を観ているような感覚になるすごい新人さんが何人かいらっしゃるけれど、尾渡はちさんもそんなひとりです。秀歌もあるし、4日連続薔薇の記録も作られたし、ただただすごいなあと思って眺めています。詠んでる数はそんなに多くないのに素敵なお歌がたくさんで、迷いました。


罪のないひとに許されたくてふと向かいの赤子に手を振ってみる/尾渡はち 2019年5月21日お題「許」

 赤ちゃんの可愛さというのは、世界を平和にするなあと常日頃から思っていて、私もよく赤ちゃん連れの家族に声をかけたりして癒されることがあるんだけれど、このお歌を読んでハッとしました。
 大人になるということは、多くの人の場合、純粋な心のままではいられなくなるということで、私たちが赤ちゃんを見て無条件に可愛いと思ったり、心が洗われるような気がするのは、それだけ、自分が罪深い人間だからなのではないかと気付かされたからです。だから、自分の子でもない赤ちゃんを笑わせて許されようとしているのかもしれない。子供好きに悪い人はいないともいうし。
 このお歌は赤ちゃんに手を振るところで終わっているけれど、もし、万一、赤ちゃんが笑ってくれずに泣き出したりしたら、主体はどこに救いを求めるのだろうか?と心配にもなりました。すごく考えさせられました。