本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第2グループ⑥朧さん

 朧さんとは、よく、同じお部屋でご一緒することがあって、素敵だなと思うお歌をたくさん詠まれているので何度も感想を書いている印象があります。なので、今回は、違うお部屋にいて選歌に参加していなかったお歌を中心に読んで、いちばん好きだったお歌を選びました。  


桃からは生まれていない君だけど私の中の鬼を倒した/朧 2019年3月16日お題「桃」

 昔話の『桃太郎』をモチーフに詠んでいるお歌です。
 君は友人なのか、恋人なのかで解釈に迷ったんですけど、友情よりも恋愛のお歌の方がより素敵だなと思うので、恋人として解釈します。
 恋愛って、嬉しいことや楽しいことを一緒に経験するのももちろん大切なことだけど、苦しいことや哀しいことも共に乗り越えてゆける、お互いが成長できる関係っていうのが理想的だと思うんです。好意以上に尊敬の方が大きいくらいがいい。
 このお歌の君は、桃太郎ではないんだけど、主体の中の鬼を倒してくれたと主体は思っています。主体が鬼と呼んでいるのが具体的にはどういうものなのかはわからないけれど、鬼と呼ぶくらいだから、主体は自分のことをちゃんと愛することができなくて変わりたいと思っていて、でも、変わることができない自分に悩んでいたのではないでしょうか。でも、そんな主体の中の鬼を、君は倒してくれたのです。君と、新しい自分に生まれ変わった主体は、これからも共に生きて、幸せになるのでしょう。