本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第2グループ⑧はとサブレさん

 はとサブレさんのお歌も好きなお歌が多くて、特に、私がハートを入れたことのある

俺は木だ王子は無理だが町娘Aのあの子がもたれて泣く木だ/はとサブレ お題「役」

なんて大好きすぎて、今年忘れられない短歌の上位に入っているんだけど、このお歌には好きなだけ感想を書かせていただいたので、ここでは別のお歌を引きます。


日光を避けて冷暗所で保管している期限のわからない恋/はとサブレ 2019年6月3日お題「冷」

 けっこう句またがりがたくさんあるのにもかかわらず、スッと入ってきたお歌です。
 日光を避けて冷暗所で保管するものといえば、糠漬けの壺とか梅酒などの保存食を思い浮かべますが、主体は恋を保管しています。それも、期限のわからない恋を。
 今が食べ頃の新鮮な恋なら冷蔵庫に入れてすぐ食べてしまえばいいのだけど、おそらく、これは、もう、主体が好きな相手にとっては終わってしまった恋です。でも、主体だけは、今でも相手のことを好きなままで、忘れるつもりがない。いつ、自分の想いが変わるのかもわからない。だから、ずっと冷暗所で大切に保管しているのでしょう。梅酒には10年以上のものがあったりするし、糠床も、代々子孫に受け継がれたりして、明確な賞味期限はありません。主体さえ、それでもいいのなら、恋だって、一生、冷暗所で大切に保管してもいいと思います。