本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「込」

駒込ツツジが燃える坂道を白髪の君と歩きたかった

 駒込は、20代の頃に勤務していた会社の最寄り駅だ。
 私が大学を中退してすぐに勤めた新宿の派遣会社の取引先が、駒込にあったこの会社だった。新宿の派遣会社は、駒込の会社の依頼で、イオンやビックカメラヨドバシカメラなどの店頭で浄水器を売る仕事を私たちスタッフにさせた。すると、面白いように浄水器が売れたのと、私以外のスタッフの子たちがあまりやる気がなかったのとで、ある日、派遣会社に
「うちは小島さんとしか仕事はしたくない」
という要望があったのだそうだ。
 その時、この新宿の派遣会社は、最高でも日給8500円が上限だったんだけど、特別に私には9500円のお給料をくれたのだった。
 この浄水器を売る仕事の時に、マッサージ機を売りにきてるおばちゃんに
「貴女、今、いくらお給料もらってるの?」
と訊かれ
「日給9500円です」
と答えると、
「少ない!貴女は若くて元気がいいからもっと稼げる。うちにいらっしゃい!」
と声をかけてくださって、冷蔵庫を売る派遣会社に転職することになった。日給は13000円に上がった。
 ところが、冷蔵庫もよく売れたんだけど、私の冷蔵庫のメーカーと店舗との仕入れ値の交渉が決裂して、私のメーカーの冷蔵庫はその店では力を入れて売れないということになった。でも、店側に気に入っていただいてた私は、引き続き同じ店で浄水器を売らないか?と声をかけていただいた。その時に、浄水器なら以前この会社の依頼で売ってたことがある、と伝えたのが、駒込の会社なのである。
 駒込の会社の、私としか仕事をしたくないとまで言ってくれた部長(女性)は、すごく喜んでくださって、私の待遇は、6時間勤務で15000円にまでしていただけた。後に、体調不良で浄水器を売る仕事を辞めた後も、この会社では営業事務としてお世話になった。
 駒込は、六義園もあったりするし、5月の駅前はツツジがたくさん咲き誇っていた。
 そんな大切な場所、駒込の景色を詠み込んで、私らしい歌になったと思う。