本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第6グループ⑩ぬぬさん

 ぬぬさんは、高校2年生で、うたの日に参加している6人の高校生で結成された短歌ユニット・杜若(かきつばた)のメンバーでもあります。
 よく、中高生の短歌を読むたびに、とてもキラキラしているのが羨ましくて、私も中年ではなくて10代の頃に短歌を始めていたらこんな輝いた歌が詠めただろうか?なんて一瞬考えては、私の中高生の頃は暗黒時代だったから無理だな……と落ち込んでしまうことがあるんですけど、ぬぬさんのお歌のきらめきもすごいです。


さみしい、を素直に言えない君のためさむい、を神は創ったんだろう/ぬぬ 2019年12月20日お題「寂」


 一目見て、うわあ!いいなあ……と、この主体と君との関係が羨ましくなりました。
 君は主体の友達なのか恋人なのかまではわからないんだけれど、君は本当はさみしいのに、素直にさみしいとは言えない人なのだということがわかります。そんな君が、さみしいと言いかけても違う言葉を言えるように、さむい(寒い)という、人間にとっては辛い状況であるにも拘わらず、神はさむい(寒い)を君のために創ったんだろうと主体は思うのです。
 気候によっても気持ちってコロコロ変わるものですが、暑い夏は開放的になったり、寒い冬はさみしくなって人の温もりを求めたりすることって、あります。だから、さみしいの代わりにさむいって言う発想はとても自然で説得力もあると思います。
 君がさむいと口にするたびに、主体は、ああ、今、君はさみしいんだなあと気づいてあげることができるのです。