本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第7グループ①あおきぼたんさん

 あおきぼたんさんとは、うたの日デビューが1日違いの同期で、彼女がいっくんママと名乗っていた頃から仲良くさせていただいています。8歳と3歳の男の子のお母さんでもあり、いっくんは、上のお子さんです。いっくんが実に聡明で面白い男の子で、どんな育児をしたらこんなに素晴らしい子が育つのだろう!と感心しているのですが、夏休みには、いっくんもうたの日に出詠されていたことがありました。
 俳句も詠まれるぼたんさんのお歌は、色や音が詠み込まれているものが多かったり、家族詠も、恋のお歌も、自然を詠まれるのも上手だなあと思っています。いつかお会いして歌会をしたい方のひとりです(数年前にそのチャンスがあったのに、私がインフルエンザでお会いできなかったのです)。
 初期の頃は同じお部屋に出詠していることも多かったので、けっこう♪やハートを送ったお歌が多かったのですが、最近は別のお部屋にいることがほとんどなので、新鮮な気持ちでお歌を拝読しました。特に好きな2首を引かせていただきます。


母よりも義母が正しいこともあるシフォンケーキはちぎって食べる/あおきぼたん 2018年3月7日お題「昨日の題からどれでも」

 
 うたの日では、毎月7日がラッキー題の日となって、いちばん上のお部屋で「昨日の題からどれでも」というお題が出されるようになりました。ぼたんさんが、どのお題を選ばれたか前日のお題を見てみると、「大好物」というお題があったので、お題は詠み込まれていないけれど、おそらく、このお題で詠まれたお歌だろうと思います。
 まず、上の句にドキッとさせられます。自分を産んで育ててくれた母よりも、血の繋がらない他人である夫の母である義母の方が正しいこともあると断言しています。それはどういう点なのかというのが明かされているのが下の句なんですが、シフォンケーキはちぎって食べるということだとわかって、ホッとします。
 主体のお母様は、シフォンケーキをフォークで食べる人なのでしょう。逆に、夫の母である義理のお母様はシフォンケーキをちぎって食べる人で、シフォンケーキが大好物である主体も、ちぎって食べた方が美味しいと思っているのです。
 私の持論として、胃袋の相性のいい人とは仲良くなれるというものがあるのですが、主体と義理のお母様もそうなのではないかと思います。他人の家に嫁ぐということは、いろいろな悩みもあるかもしれないけれど、大好物のシフォンケーキの美味しい食べ方が義理のお母様と一致したというのは、主体にとっても心強かったのではないでしょうか。
 それに、このお歌には、フォークでシフォンケーキを食べていた人まで、ちぎって食べてみたいと思わせる魅力もあります。母よりも義母を正しいと言い切っているから、ちぎって食べるシフォンケーキはそんなに美味しいのか!と思うのです。
 

お兄ちゃんだから我慢をしてなんてきっとマリオは言われていない/あおきぼたん 2018年9月1日お題「我慢」

 マリオは、任天堂のゲームのマリオシリーズのマリオのことでしょう。マリオは双子で、弟のルイージ(たぶん、類似から名付けられたのかな?)がいます。
 同い年の双子だから、マリオは「お兄ちゃんだから我慢をして」と言われなかっただろうというのもあるだろうし、もし、そんなふうにマリオが育てられていたら、ピーチ姫を助けるためとはいえ、何者も怖れずに勇敢に冒険をできるような大人にはならなかったかもしれません。冒険したいという気持ちはあっても、他人の顔色を窺ってしまうから。
 主体は、ぼたんさん自身であると仮定した時、おそらく、育児で長男に「お兄ちゃんだから我慢をして」と言いたくなる場面があったのかもしれないなと思いました。でも、それをグッとこらえて、のびのびと育てようと思い直したのではないでしょうか。
 このお歌を、子供の頃に「お兄ちゃんだから我慢をして」と言われて育った人の回想としてではなく、今、育児に奮闘中のお母さんであるぼたんさんが詠まれたということが尊いなと思うし、こんなお母さんに育てられる子供たちは幸せだろうなあと思うのです。