本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第7グループ⑦酒匂さささん

 酒が匂うと書いて酒匂(さこう)さんと読む酒匂さささんは、その名の通りお酒好きだそうです。先日、横浜の藤が丘にある青山祐己さんのお店・風凛歌さんで開催された歌会と新年会で初めてお目にかかったのですが、酒匂さんは、実に素敵な酔い方をされていました。カラオケの方のお歌がめちゃめちゃお上手で、青山さんのピアノ伴奏で中島みゆきさんの『糸』を歌われたんですけど、その瞬間、私は彼女を心の中で酒匂プロ!と呼んでおりました。
 酒匂さんもうたの日デビューは今年の8月なのですが、心を揺さぶられるお歌がありました。


生きること=(イコール)素敵なことだって何時何分誰が決めたの/酒匂ささ 2019年8月29日お題「生」


 このお歌は、死にたいと思い詰めたことのある人にとっては、希望の光のようなお歌だと思います。
 死にたいという人に対して、健康な人は、その気持ちを簡単に頭ごなしに否定したりすることが多々あります。
「死ぬな」
とか、
「生きていればいいことがあるよ」
とか。私は、死にたくてたまらない時に、母にも言われたことのない
「馬鹿!」
Twitterで罵られたこともありました。
 生きる希望を失っている人がその気持ちを吐き出す時、欲しいのは前向きな否定ではないのです。まずは、肯定してほしい。死にたいほど苦しんでいることを知ってほしい。そして、ただ、寄り添ってほしい。苦しみが少しだけ和らぐまで。
 この主体もきっと、生きるのが大変なのでしょう。それは、もしかしたら、死ぬことよりも苦しいのかもしれない。それなのに
「生きることは素敵なことだよ」
なんて安易に励ますのは、逆効果になると思います。
 生きるのは苦しいよね、大変だよね。でも、あなたはひとりじゃないよ。大丈夫だよ。死にたくなったらひとりで抱え込まないでね……そんな声が聴こえてきそうなお歌だと思いました。