本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第8グループ④404notF0816さん

 404notF0816さんは、すごく頑張り屋さんのイメージがあって、時々すごくしんどそうなのにちゃんと仕事にゆかれてて立派だなあ、でも無理しないでほしいなあと思いながら、美味しいものの話や、お洋服の話や、共通の歌友さんの話をしたりして、仲良くしていただいています。まだお会いしたことはないけれど、いつかお会いしたい方のひとりです。
 短歌は2014年に始められたそうで、吉村奈美さんとしても短歌を発表されていて、NHK短歌でも何度か入選されていますし、『NHK短歌』で大好評の連載だった天野慶さんの「ジセダイタンカ」でも紹介されたことがあるとのことです。今年からは未来短歌会の大辻隆弘先生の欄に所属されました。
 
 そんな404notF0816さんのうたの日のお歌でとても好きだったのがこちらです。


パンプスの形に丸まる爪先をさすってひらく夜の玄関/404notF0816 2015年4月23日・お題「爪」
 
 今でこそ、去年の新語・流行語大賞のトップ10に入ったTwitterハッシュタグ #KuToo の署名運動が話題になったくらい、女性だけが仕事でパンプスやハイヒールなどを履かなければいけない職場はおかしいから変えてゆかねばいけないという世の中の流れができつつありますが、このお歌が詠まれたのはその4年も前です。
 この主体はパンプスの形に爪先が丸まるくらいの長時間、おそらく、デートなどの楽しい予定で履いたのではなく、仕事でパンプスを履いていたのだろうなと思います。疲れて帰ってきて玄関に座り込んでいるのでしょう。
 パンプスを脱いだらすぐに部屋に入る元気はなく、一日中、窮屈な思いをしていた爪先をさすってひらくという四句がとてもいいなと思います。まるで、足に、頑張ったねと労ってあげるかのような優しい動作です。四句はすべてひらがなでひらいていることで、解放感もあります。
 声をあげて仕事の時のパンプスやハイヒールから女性たちが解放されるように活動している人たちも立派だけれど、辛い思いに耐えながらも黙々と頑張って、誰にも褒められなくても頑張った自分自身を褒めて労うことのできる主体のような人も立派だなあと思うのです。もしかしたら、主体も、無理をしてハイヒールを毎日履いて頑張っている自分が好きなのかもしれません。
 女性として考えさせられるお歌でした。