本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

今日の自由詠

哀しみの数だけキスを交わそうよ朝の光に包まれるまで

 最後にキスをしたのは28歳の時だったと思うから、もう干支が1周しちゃったのか。
 私は、キスをするのが好きで、恋人に求められたら必ず応えていた。それが、ラブホテルでも、遊園地でも、駅のホームでも。
 喧嘩もほとんどしなかったから、最後に別れ話をされた時以外は、逢うたびにキスをしてたと思う。
 彼は刑事だったから、殺人事件の後なんてとても疲れきっていて、それでも、非番の時に私と逢う予定を最優先にしてくれるのが嬉しくて、彼が寝息を立て始めるまでは、ずっと、彼とキスを交わしながら抱き合っていた。どんなに辛いことや苦しいことがあっても、お互いの体温を感じることで、自分たちがちゃんと生きていることを確認できていたようなところがあったかもしれない。