本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「宮」

宮崎もイオンだったら求人はいくらでもあるけど帰らない

 私の宮崎の実家は、徒歩数分のところにイオンがあって、母は
「イオンは私の庭よ」
なんて言ってるんだけど、シーガイアも3,261億円もの負債を抱えて経営破綻したし、民放のテレビ局も2局しかないし、新幹線も通っていない宮崎には、豊かな自然と美味しい食べ物と純朴な温かい人たちを除いたら、イオン以外のところは寂れていて、イオンにゆくと、(宮崎にこんなに人がいたのか……)とびっくりするほど賑わっている。
 イオンができるまでは、宮崎になかったお店もたくさんイオンの中に入っていて、イオンの中にいると、一瞬、ここが宮崎であることを忘れるほどだ。それはちょっと淋しいことでもある。
 私が昨年帰省した時、伯母にも母にも
「宮崎に帰っておいで。仕事ならいくらでもあるよ」
と言われたけれど、宮崎で仕事がたくさんあるのは、バイトやパート採用のイオンくらいのもので、時給も宮崎だから安い。フルタイムで働けるようになったら奨学金の返済を再開しなければならない私にとっては、宮崎で働いたら、いつ、返済が終わるかわからない。
 それに、短歌を続けてゆくのならば、宮崎もいいところではあるけれど、やはり、東京にいた方が歌会には参加しやすいだろう。帰省前に宮崎の歌会を探してみたけれど、結社の歌会しかなかった。
 何より、東京には、片想いだけど好きな人がいるということも大きい。彼といつかどこかで偶然再会できるかもしれないという微かな希望があるうちは、私は東京を離れないと思う。