本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「妙」

巧妙に契約させる罠だったエステサロンの無料体験

 

 

 大学生の頃、懸賞でスリムビューティーハウスというエステの無料チケットが当たり、痩身エステの体験をすることになった。

 最初にスリーサイズや体重を計り、一通り施術を受け、ラップのようなものを全身にグルグル巻かれてサウナみたいに熱くなるカプセルのような機械の中に入り、シャワーを浴びてまたスリーサイズと体重を計測して終了……かと思いきや、痩身コースへの勧誘が始まった。

 学生でお金がないから無理だと断ると、

「月にいくらまでなら出せる?」

「学生さん専用のローンがある」

等、数時間しつこく迫られ、契約するまで帰してもらえないんじゃないかと思った私は、思わず、30万円のローンを組むことを了承してしまったのである。

 3ヶ月間好きなだけエステに通い放題で30万円と言われたが、エステで受ける施術だけで痩せるほど甘くはなく、すごく不味いプロテインも買わされ、3食のうち2食それに置き換えることになった。

 当時、教員採用試験に備えて毎日プールで泳ぐ練習もしてた私は、みるみるうちに11kg痩せたのだが、食べずに運動すれば痩せてゆくのは当たり前で、消費者金融に借金をしてまでエステにゆく価値があったのかどうかは疑問である。

 貧乏学生にとって30万円は大金で、毎月利息分だけ返済してゆくのがやっとで、いつまでもいつまでも借金が減ることはなかった。ついに、家賃を半年分滞納してしまい、このままでは家を出てゆかなくてはならない……ということになった時、母が司法書士さんに相談してくれて、任意整理をすることになった。

  長い間支払った利息分だけで元金をはるかに上回る金額になっていたので、かなりのお金が戻ってきて、借金は帳消しになった。

 世間知らずで意志の弱い私が悪かったとはいえ、スリムビューティーハウスの勧誘はあまりにも強引だった。「タダほど高いものはない」というのは真実であることを身をもって体験したのである。

 私が販売の仕事をしていた時にいちばん心掛けてたのが、お客様に無理に商品をお勧めせず、お客様のお話をよく伺って、そのお客様が本当にほしいと思われるものだけ販売するということだったけど、学生時代のエステでの体験がなければ、私も強引な販売員になっていた可能性もあると思うと怖い。

 全部のエステがこんな感じではないかもしれないけど、これを読まれてる皆様も気をつけていただきたいと思う。