本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

今日の自由詠

おっかあがうなぎを食べてから死ねばごんは撃たれなかっただろうか

 

 今日は土用の丑の日なので、鰻を食べた。鰻の稚魚が絶滅寸前と言われているけれど、今、お店に並んでる鰻を食べなければ廃棄されてしまうだけだ。今日が消費期限の3割引の宮崎産の鰻の蒲焼きを買った。やっぱり、食べると元気が出るし美味しかった。これで、明日からの断食再開も乗り切れると思う。

 鰻といえば、『ごんぎつね』を思い出すのだけど、もし、仮に、ごんが兵十が捕った鰻を逃がさなかったとしても、おそらく、兵十のおっかあは亡くなったと思うし、ごんがいたずら好きのきつねだということは以前からわかっているわけだから、他の理由で撃たれたかもしれないと思うのだ。

 最期の晩餐として精のつく鰻をおっかあに食べさせたいという兵十の気持ちもわかるし、そういう兵十の気持ちを察してこっそり栗や松茸を兵十のもとに届けていたごんも健気だなあと思うのだけど。どちらにも感情移入できて、どちらも責めることはできない物語を、子供も読める童話として書いた新美南吉さんはすごすぎると思う。

 たぶん、子供たちが人生で最初に「食べ物の恨みは怖い」と知ったのは『ごんぎつね』を通してだったというケースも多いのではなかろうか。