うたの日・お題「先生」
先生とお茶をするのが楽しみで下手でも続くピアノレッスン
10歳から17歳までピアノを習っていた。
毎週、自転車で先生のご自宅にゆくと、グランドピアノが2台置かれたレッスン室のテーブルに、先生が、お茶とおやつを用意してくださった。
お菓子屋さんのケーキやクッキーだったり、夏には涼しげなガラスの器に盛られた抹茶アイスとバニラアイスだったり、大粒の巨峰や新高梨だったり、とても美味しいものばかり振る舞ってくださった。
先生とお茶をしながら、音楽のこと、読んでいる本のこと、ファッションのこと、先生の音大生時代のこと、先生とご主人のなれそめのことなど、いろいろなお話をするのがとても楽しくて、先生も
「直美ちゃんがいると、レッスンの時間よりもおしゃべりしてる時間の方が長くなっちゃうわね」
なんて笑ってらした。
楽譜が読めずに高校生になってもひとつひとつの音符に色鉛筆で色を塗らなければいけないような出来の悪い私に、先生は丁寧に指導してくださった。
ピアノの先生としてはもちろん、女性として妻として母としていつもキラキラされてて、本当に素敵な憧れの先生だったので、先生というと、学校の先生よりもまずピアノの先生が頭に浮かぶのである。