本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

紅あずま

 明日から食べるシチューの具を何にしようと思って青果コーナーを見ていたら、南瓜やかぶはけっこう高めだが、さつまいもは紅あずまが大きくて安い。うん、これにしよう!と思って物色してたら

「このおいも、甘くて美味しいのよ!私は、これを輪切りにして、オーブントースターで焼いて食べるの!」

と見知らぬおばさまに話しかけられた。

「いいことを聴きました。ありがとうございます」

と言って、丸々として長い紅あずまをかごに入れた。

 4年前までの私は、6年間も、こんな会話をすることができなくて、ずっと自宅にこもりっきりで、買い物はネットスーパーでしかできなかったから、今、こうして、自分の目で商品を選んで買い物したり、知らない人とも普通に話ができるようになるまで回復したことが嬉しい。

 10年もの間ずっと私を診察して根気よく私に合う薬を探してくださったふたりの主治医と、ずっと励まして支え続けてくれてる母と、適度な距離感で見守ってくれてる弟と、対面での会話が難しい私のためにずっとお手紙やメールでやり取りをしてくださった大家さんなど、お世話になった人が何人もいる。

 ここまで元気になったことに感謝しながら美味しいシチューを作ろう。