本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「15時のお母さん」

亜羅人(アラジン)でケーキセットを食べながら今だけ母をひとりじめする 

 私は子供の頃から病弱だったので、よく、学校を休んだり遅刻したり早退したりしていて、あまり酷い時は病院に母が付き添ってくれたんだけど、その帰りに、母が、喫茶店に連れて行ってくれることがあった。
 我が家でケーキを食べるのは、誕生日とクリスマスと家庭訪問で先生がいらっしゃる時くらいだったから、この、母とふたりだけで、学校にも行かずに喫茶店で食べるケーキはなんだか背徳感があったけど、すごく美味しかった。
 それに、何よりも、家に帰ると、私はしっかり者の長女としての役割が求められていたから、母とふたりだけの時は母に甘えることが許されるのも嬉しかった。
 亜羅人は、宮崎の有名な昔からある喫茶店で、珈琲もケーキも軽食もなんでも美味しかった。でも、先日帰省した時には、亜羅人はなくなっていた。とても淋しかったけど、記憶の中の、母とふたりで過ごした亜羅人は永遠である。