本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「演」

私、今、コメディエンヌだ失恋を笑いに変える演技をしなきゃ

 中学時代は演劇部だったけれど、泣いたり怒ったりする演技は意外と簡単で、脚本に感情移入すればすぐできてしまうものなんだけれど、人を笑わせるという演技はなかなか難しく、何度も念入りに練習を重ねた想い出がある。
 中2の時に私たちが演じたのは、『ロミオとジュリエット』の現代版で、実は、ジュリエットはひっそりロミオの子供を産んで子孫を残していて、その何代も後に、また、キャピュレット家とモンタギュー家の子孫同士が恋におちるという設定なんだけど、キャピュレット家の娘は双子で、ふたりともモンタギュー家の息子に想いを寄せてしまったことから起こる悲劇を描いた、当時の部長によるオリジナル脚本だった。
 私が演じたのは、モンタギュー家の息子の父で、かなりのお調子者の役。これが、なかなか大変で、父の服を借りて男装をし、いちばん低い声で喋るくらいはなんとかなるんだけど、客席の笑いを取るのが私の役目で、息子役の先輩からからハリセンで思いっきり叩かれたりしたのが懐かしい。
 当時の私は、自分の容姿の悪さを今ほど気にしてはおらず、本気で、将来はジュリー・アンドリュースのようなミュージカル女優になりたいなんて思っていた。しかも、脚本も自分で書こうと思っていたのだから、恐ろしい。
 今はもう、女優にも脚本家にもなる実力は自分にはないことは自分がいちばんよくわかっているけれど、演劇や高校の時にやってた放送で学んだことは、接客の仕事でも、今のコールセンターの仕事でも、かなり活かされてるなとは思う。