本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

今日の自由詠

そういえば無邪気に人を傷つけるモーツァルトも神童だった

 

 子供の頃から天才だと褒められて挫折を知らない人生を歩んできた人は、自分のやりたいことに夢中になるあまり、周囲の人を気遣わずに、傷つけていることがけっこうある気がする。

 彼らには、たぶん、自分より能力の劣る人たちや苦労している人たちの気持ちがわからないし、わかる必要もないのだろうと思う。

 私の弟も、高校生の時まではどちらかというとそっち側の人だったけど、指揮者という無謀な夢を見て精一杯挑戦したけど叶わなくて浪人して、なんとか、国立の音楽科のある大学に滑り込んではみたものの、プロとして食べてゆくのは難しくて、30歳の時に音楽を仕事から趣味にした。でも、弟にとっては、それがとてもよかった。いつだって、自分と自分の音楽以上に大切なものなんてなかった弟が、普通の仕事に就いて、愛する人とも出逢って、別人のように優しくなった。

 ほんの一握りの天才であることも幸せなのかもしれないけれど、天才を理解できる人は周囲にほとんどいないから、天才は孤独だろうなと思う。孤独を愛する強さもなければ、天才で居続けることはできないのだろうな。