本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「望」

オール5の弟と比べられるたび瞳に浮かぶ絶望の色
 

 希望で詠むか絶望で詠むか迷ったけど、天気も悪いし絶望を詠みたい気分だった。

 私は、父に、魚の食べ方が上手いということと、ご飯粒を残さず綺麗に食べるということ以外は、褒められた記憶がない。

 特に、勉強に関して父は厳しく、学校で授業をちゃんと聴いていればテストは満点で当たり前、5教科の成績は5で当たり前という考え方の人だったから、テストで満点ではないと叱責されたし、私が得意なのは国語だけだったけど

「日本人なら国語なんてできて当たり前だ」

と言われて、褒められたことはなかった。

 さらに、不運なことに、弟は、父の期待に応えて5教科はもちろん他の教科も優秀で、ほぼ5の中に4が1~2個あるか、オール5というような成績だったから、私は常に、

「なんで弟にできて、姉のお前にできないのか?」

「弟を見習いなさい」

「お前のような娘を育てた覚えはない」

「お前なんか生まれてこない方がよかった」

など、頭ごなしに人格否定され、罵倒されて育った。

 父自身は中卒で、中学時代に1回国語の教科書を開いた以外は勉強をしたことがなかったという人だったこともあり、父のせいで貧乏な生活を強いられていたので、私はいつも心の中で、お前が言うな!と思っていた。

 もしかすると、私が、歌会では好きな歌でなく優れた歌を選ぶべきだという考え方の人に猛反発するのは、彼らの考え方や、その考え方の押し付けが、自分の父を見ているようだからなのかもしれない。