本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

今日の自由詠

「好きな色ならない」と聴いた瞬間に気付いてあげたかった淋しさ

 好きな人に、好きな色は何か訊いた時に「好きな色はない」と答えられて、そんな人に会うのは初めてだったから、びっくりしたことがあった。
 その時は、そんなに深く考えなかったけど、今なら、彼には、人として大きく欠落している部分があるのかもしれないと思う。
 好きな色によって、その人の性格や深層心理がわかると言われているけれど、好きな色がないというのは、他人に対して心の中を見せたくないということなのではないか?という気がしたからだ。
 本人は、今はそれで何の不自由もないのかもしれないけれど、心を開いてくれない人に対して心を開こうとする人はあまりいないだろうから、誰とでも上辺だけの付き合いしかできないのだろうな、淋しい人だな、と思ってしまったのだ。
 出会った時から最後に連絡を取った時まで彼が私を友達だと思ってくれたことはなかったし、彼は、友達と認める人はごく限られた少数の人だけだというようなことを言っていたけど、彼のことを友達だと思っている人たちの中で、彼にとっての友達が何人いるんだろう?と考えたら、せつなくなった。
 彼にも話したことがあるけど、私にとっては王子さまである彼の一輪のバラになることは私にはできないけど、キツネにはなりたかったし、時間をかければキツネにはなれるんじゃないかと思っていた。
 でも、彼は、自分の作品のためならば、私を深く傷つける倫理的に問題のある表現をすることにも何の罪悪感もなく、むしろ、私のことなんか頭の片隅にもなかったのだと思われるのだけど、今は、それは、彼自身に問題があるから何の配慮もできなかったのだな、と思う。
 どうして、私は、それでも、彼しか好きになれないんだろう。彼よりも優しい人も、気の合う人もいるかもしれないのに。