本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第6グループ④民生さん

 民生さんのことは私はたみさんと呼ばせていただいてますが、誕生日が同じということでも意気投合したり、恋の話を聴いていただいたり、お茶をしたり、甥っ子の初めてのクリスマスプレゼントに回文の布絵本を贈りたいと思っているという話をしたら、なんと、とても素敵な『らりらりら』というタイトルの布絵本を作ってくださったり、姉のように慕っている方です。
 すごく他人に対して優しいのに、自分には厳しい方なんだと思うのだけど、毎日、メキシコの北西部のタラウマラ族が履いているというワラーチというサンダルを履いて走っていらっしゃって、仕事と育児や家事もしながら、フルマラソンに出場されたりもしていて、すごい人だなあと思っています。
 そんなたみさんのお歌は、やっぱり、優しいお歌が多くて、昔、同じ時間帯のお部屋に出詠していた時は何度も感想を書いてきましたが、最近は滅多に一緒にならないのでどのお歌にしようか迷いました。2首引かせていただきます。


来年はもう短歌など詠まないで君の隣で笑っていたい/民生 2017年12月25日お題「来年」

 
 たぶんですけど、このお歌の主体、私がモデルなんじゃないかな?と思っているんです。間違っていたら申し訳ないけれど。
 この頃、私は、当時片想いをしている人との関係に大きな亀裂が入ってしまう出来事があって、精神的に追い詰められていました。彼からは、私が恋の歌を詠むのは迷惑だと言われていたので、女性に生まれながら恋の歌が詠めないなんて心が死んだも同然なので、もう短歌はやめるべきなのかもしれないと思い詰めていた時期だったのです。
 このお歌の主体の心情は、私の気持ちとぴったり重なったし、それができたらどんなにいいだろうかとも思いました。でも、私は、彼に嫌がられても、詠みたくなくなるまでは詠むことを選びました。だって、短歌をやめたからといって、彼が私を好きになってくれることはないからです。私には自分の心を殺すことはできませんでした。
 でも、このお歌の主体が、どうなったのかはわかりません。短歌をやめたのか、やめなかったのか。短歌をやめた主体を君は好きになってくれたのか。それで主体は虚しくはないのか。
 私は、このお歌を読んで、たみさんから、私自身が納得できる答えを来年は出しなさいと背中を押されたような気がしました。


一日の終わりどんぐり色をした珈琲を飲む 明日芽が出る/民生 2018年5月16日お題「新しい色名を考えてください」

 うたの日では、16日はイロで色の日とされているんだけど、この日はすべてのお部屋がこのユニークなお題で、私は薔薇をいただくことができたのでとても記憶に残っているお題ですが、たみさんとは出詠の時間帯が違ったので、初見のお歌です。一緒のお部屋だったらハートだったなあと思いました。

 どんぐり色をした珈琲ということは、一日の終わり、つまり眠る前に飲む珈琲だから、普通の珈琲より薄めに淹れているのではないかなと思います。いわゆる、アメリカンなのでしょう。どんぐり色なので、あまり苦くもなさそうです。
 抜群にいいなあと思うのが、結句です。どんぐり色の珈琲を飲んだから、明日芽が出るという発想がなんとも可愛らしく、希望があります。どんなに疲れた日でも、主体は、どんぐり色の珈琲を飲むことで自分を労って、明日の活力に変えてゆける人なのでしょう。
 結句の前の一字空けも、一晩寝て夜が明けた感じがして効いているなと思いました。