本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第10グループ⑤北町南風さん

 95人目は北町南風さんです。南風さんのお歌は、彼が毎週Twitterのスペースの機能を使って開催されている「北町南風のオールタンカニッポン」にゲストとしてお招きいただいたときに好きなお歌を5首引いたのですが、まだ好きなお歌がありましたよ。


返却日が近付いたので解決を催促される明智小五郎/北町南風 2021年8月20日・お題「返」


 クスッと笑えて、わかる!と共感したお歌でした。
 私も小学校高学年くらいから大学生くらいにかけてミステリー小説にハマっていた時期があり、当時は、毎日1~2冊ペースでミステリーを図書室で借りていたんですけど、学生だと普段のペースでは読書できない時もありますよね、テスト期間中とか。本には決まった返却日があって、特に人気の本だったりすると続けて借りることもできなくて、それがミステリー小説だと急いで読まなければ読者にとっては事件が迷宮入りしてしまうことになる。
 このお歌では、その中でも、ミステリー好きな人ならきっと誰もが一度は通ってきている江戸川乱歩の小説に出てくる名探偵・明智小五郎にスポットライトを当てたところがとてもユニークで、読者が急いで読むということは、明智小五郎も推理を急がなければならないということを発見できたことが、すごく素敵だと思いました。
 主体が小説の世界の中に入り込んで、明智小五郎と対話をするかのように読み進めていることが想像できる、読書の楽しさがよく伝わるお歌です。