本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第10グループ④乾まさきさん

 94人目は乾まさきさんです。


数学も体育もない火曜日に唯一僕は僕でいられる/乾まさき 2020年3月17日・お題「火曜日」


 このお歌は、学生時代にオール5だったような一部の超優秀だった人を除いた誰もが、学生時代にタイムスリップしたような気持ちになれるお歌なのではないでしょうか。
 勉強にも運動にも普通の子には向き不向きがあって、数学は一度苦手になると坂道を転げ落ちてゆくようにどんどん成績が下がってゆく一方で、わからないところがわからなくて上手く説明できないくらいの状態になる教科だと思います(←経験者は語る)。また、体育も運動神経の鈍い子にとってはラジオ体操などの軽い運動以外はほぼ苦行でしかないですよね(経験者は語るパート2)。
 でも、数学も体育もけっこう時間割の中を占めていて、その両方の教科が片方でもない日というのが滅多にないということに注目した点がこのお歌の素晴らしいところで、本当は字数合わせのために火曜日が都合よかったのだとしても、このお歌にはすごく実感がこもってると思うのです。
 苦手なものにも強制的に取り組まなければならない息苦しさから解放される火曜日が、主体にとって救いなのだろうなと感じました。