うたの日の100人の短歌・第1グループ④み浦よし彦さん
み浦よし彦さんはわりと最近うたの日に参加されるようになった方なんだけど、短歌の感想をお伝えしてもいいとすぐに言ってくださってとても嬉しかったです!ありがとうございます!
出木杉に悩みがあるなど考えもせずにのび太は瞬時に眠る/み浦よし彦 2019年9月13日お題「杉」
ドラえもんの短歌は、歌人の枡野浩一さんが『ドラえもん短歌』として編集された歌集も出ているくらいいっぱいあって、うたの日にもドラえもんをモチーフにした短歌はたくさんあります。私も何首か詠んだことがあります。
このお歌の面白いところは、1首の中にのび太が一方的にライバル視している出木杉くんとのび太の両者が出てきて、この短さの中でふたりの対照的な性格がよく表れているところだと思います。
Wikipediaで出木杉くんについて調べると、頭脳、運動神経、趣味の多さ、性格と、どこを見ても非の打ち所のない少年で、怠け者ののび太にライバル視されているのが気の毒になるくらいなんですけど、このお歌は、そんな出木杉くんにも悩みがあると断言しているところに、作者の優しさが滲み出ているなと思うのです。
そして、のび太は、いつも寝ています。すぐに眠れるということは、悩みがないとも考えられるし、悩むことがあっても、彼にはドラえもんという最大の味方がいます。それに、ドラえもんが未来から来てくれたことによって、のび太は、しずかちゃんと結婚もできる。
とても立派な少年なのにどこか孤独な出木杉くんに寄り添うような視点がとてもいいなと思ったお歌です。