本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第3グループ①からすまぁさん

 からすまぁさんは、まだ高校生で、文芸部の部長さんとして頑張っていらっしゃって、短歌甲子園にも出場されたりしていて、40歳近くになってから短歌と出会った私は、からすまぁさんが羨ましくて仕方ありません。
 詠まれる短歌も、すごくユニークな視点のものが多くて、こういう感性は真似しようと思ってもできるものではないなあと感心することも多いのですが、私は特にからすまぁさんの家族詠が好きです。お母さんの出てくるお歌にもドキッとするようないいお歌があるのですが、今日はお父さんのお歌を引かせていただきたいと思います。


母さんと籠城戦をしてるとき食糧補給に来てくれる父/からすまぁ 2019年6月16日お題「父」


 まず目を引くのは、お母さんのことは母さんと呼んでいるのに、お父さんのことは父と呼んでいる点です。喧嘩するほど仲がいいとも言うように、主体にとっては、籠城戦をしている時でも母さんと呼んでしまうお母さんの方がお父さんより心の距離感が近いのではないだろうかと思いました。
 子供を叱る時に、両親揃って叱るのは良くないという話を聞いたことがあります。ひとりが子供を厳しく叱責したら、もうひとりは子供の逃げ場になってあげなくてはいけないと。この主体のお家では、それが実に上手にできているなと思うのです。お父さんがお母さんと一緒になって主体を責めずに、ひょっとしたら食糧自体はお母さんが用意したものかもしれないんだけど、それを補給に来てくれる。
 私が実家で暮らしていた頃はよく父と険悪になり、父に
「お前なんかに食わせる飯はない!」
などと怒鳴られていたこともあり、このお父さんと主体との関係性がとてもいいなあと思ったのですよ。
 この籠城戦が終わったら、また主体とお母さんはいつも通り仲良しに戻って、少しお父さんの影が薄くなるのかもしれないけれど、主体にとって本当に必要な時に愛情を目に見える形で注いでくれる素晴らしいお父さんだなと思いました。