本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「好」

我が家では大いばりしていいようにお好み焼きは父に任せる


 私の父は、両親を子供の時に亡くし、中学までしか卒業していないから強い学歴コンプレックスのある人で、自分が社会で差別されているという思いを常に抱いてきたようだ。
 元々、九州男児で亭主関白だからというのもあるだろうが、家の外では誰に対しても頭を下げなくてはいけない父が唯一誰の顔色も気にせずに堂々と振る舞えるのが家庭だということもあるのだろう、父は、常に家の中では威張り散らしてきたし、私たち家族もそれを許してきた。
 お好み焼きなんて、材料の下ごしらえと片付けはすべて母や私の仕事なのだが、父は、材料を自分の目で見て買うのと生地に具を混ぜるのと焼くのだけは自分がやりたがって、
「どうだ。お父さんのお好み焼きは旨いだろう!」
とドヤ顔をするのである。
 そして、私たち家族も
「やっぱりお父さんのお好み焼きは最高だね!さすがお父さん!」
と褒めるのが、我が家でお好み焼きをした時のお約束なのだ。
 父のお好み焼きは贅沢で、豚もイカも海老も入るから、美味しくて当然なのだけど。