本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第6グループ①草太朗さん

 草太朗さんとは、Twitterでそんなに絡みがなくて、舞台関係のお仕事をされているらしいことくらいしか知らないのだけど、お料理が好きで美味しそうなお総菜をよく作られていたり、私が料理の写真をツイートすると食いついてきてくださったりというくらいの関係だけど、食べることが好きな人とはきっと仲良くなれると思っている私は、勝手に親近感を持っています。
 うたの日デビューをされたのが今年の3月ということでそんなにたくさんお歌の数はないんだけど、好きなお歌が何首もありました。その中で特に好きだったお歌を引きます。


残りもの卵でとじた名前なき昼餉が母の毎日だった/草太朗 2019年5月28日お題「残」


 思わず、涙がこぼれてしまったお歌です。
 母というのは本当に偉大な存在で、家族のためなら自分のことを後回しにしたりやりたいことを我慢したりしても、それを犠牲だとか苦労だとは思わない人が多いと思うんですけど、主体のお母様もそんなひとりなのではないでしょうか。
 家族には、朝、昼、晩とおそらくほぼ毎回違う食事やお弁当を作るけれど、自分がお昼に食べるものは、家族の残りものを卵でとじた名前のない料理なのです。でも、きっとそれも美味しいんだろうなとは思うんですけど、そうやって、食べ物を無駄にすることなく、節約もする。
 結句が過去形になっているということは、既にお母様は亡くなられてしまった可能性もあるし、ご健在であっても、主体自身が当時はお母様の食べているものに気がつかなかったけれど自分が大人になってみて昼食をとる時に、そういえば母は毎日残りものを卵でとじた料理を食べていたなあと気付いたのかもしれません。
 裕福なお家のマダムのようにホテルのレストランで5000円のビュッフェをランチにするなんていう生活も羨ましくはあるけれど、主体のお母様のように、家族のために慎ましく生活することは尊いことだなあと思いましたし、自分の母も大切にしなければならないなと考えさせられたお歌でした。