本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日の100人の短歌・第6グループ②傘下さん

 傘下さんから、この企画に参加したいと声をかけてくださった時点で、まだ、傘下さんは、うたの日に3首しか投稿されていませんでした。でも、お歌の数が少なくても感想を書いてもいいと言ってくださる方がいたことが本当に嬉しくありがたかったです。


取り敢えずビール頂戴 そうやって私のことも選んだんでしょ/傘下 2019年10月21日お題「昼酒」


 思わず、ドキッとしました。
 昼間からお酒を飲むということは、私は大人になって20年以上経った今でもちょっと罪悪感があって、おまけに、ビールも苦手なので、これまでの人生で「取り敢えずビール頂戴」っていう台詞を一度も言ったことがないのです。何が飲みたいかじっくり考えて、美味しそうだなと思ったお酒を頼みます、夜に。だから、昼間から「取り敢えずビール頂戴」なんて堂々と言える人がちょっと羨ましくもあります。たぶん、こういう性格が恋愛にも影響していて、私は、本気で好きな人としかお付き合いできないし、基本的に結婚を視野に入れて恋をします。ちょっと気になるからふたりで遊んでみるなんてことはできないタイプです。

 このお歌の主体は、自分は恋人に軽く扱われていて、丁寧に愛されていないような気がして不安なのではないでしょうか。たぶん、恋の始まり方が、昼間から取り敢えずビールを頼む時のようにサラッとしたもので、相手が本気なのかどうかが伝わりにくかったのかもしれません。でも、主体は、それをはっきり相手に伝えられる強い人だということに好感を持ちました。
 主体からこう指摘された恋人は、どんな表情で、どんな返事をするのだろうか?と想像が広がります。できれば、主体の杞憂であってほしい、恋人にはちゃんと主体のことを好きでいてほしいと願わずにいられませんでした。