うたの日・お題「頬」
「殴る手も痛いんだぞ」と言う父で頬よりずっと心が痛い
以前もちょっと書いたけど、私は3歳から高校卒業までずっと父から虐待されていた。父本人は虐待だなんて思っておらず、自分の思い通りに素直に言うことを聞かない娘に暴力を振るうことを当たり前の躾だと思い込んでいる。
中学2年生の時、いつものように父と口論になり、父が私の頬を何度も何度もビンタした。そのせいで、私の右耳は鼓膜が破れて、日常的な生活には支障はないけれど、どうしても聞き取れない音があり、当時、抱いていた東京で声楽を学びたいという夢を諦めなくてはならなくなった。
その時に、父に言われたのがこの台詞である。自分の行った虐待を正当化するためだけの利己的な言葉。お前のために自分の手の痛みを我慢して殴ってやったのだと言われているようなものだ。
当時の私は、まだ虐待という言葉を知らなかったから、とても苦しんだ。とにかく、一日も早く大人になってこんな家を出ていかなければならない、できるだけ遠くへ……という想いでいっぱいだった。