本気子の部屋

短歌、回文、日常を綴ります。

うたの日・お題「木」

「あの木ごと全部あんたのもんじゃが」と食べ放題の祖母の無花果

 

 今月2度目の薔薇をいただけた。

 祖母の家の庭には、祖父が植えた果樹がいっぱいあって、四季折々の果物が実っていたんだけど、毎年、夏休みはずっと祖母の家で過ごしていた私のいちばん楽しみなイベントが無花果狩りだった。

 8人も子育てしてきた祖母は、子供の喜ぶことを言ったりしたりする達人で、この歌に詠んだのと同じ言葉で私をわくわくさせてくれた。

 完熟の無花果で、実が割れてしまっているものには蟻がたくさん集まっていたりもしたけど、私は今まで生きてきた中で、祖母と獲った無花果よりも甘い無花果を食べたことがない。本当に美味だった。

 祖母が亡くなった後、想い出がいっぱい詰まった祖母の家は取り壊され、庭の木も全部切られ、ただの更地になってしまった。

 でも、祖母と過ごした優しい時間は絶対に消えないし、こうして歌にして残しておくことができる。

 

 そういえば、今年の角川全国短歌大賞の題詠も「木・樹」なのである。この歌もそっちに出そうか迷ってうたの日に出した結果、主席だったので、ちょっとガクッとしているが、自分の中では角川全国短歌大賞に応募する歌の方が自信作なので、気を取り直すことにした。