うたの日・お題「自転車」
骨年齢二十歳の母のママチャリが原チャリを抜く朝の坂道
我が家は、タクシードライバーだった父の厳しい命令で、女であり運動神経も鈍い私と母は、自動車の免許もスクーターの免許も取ることを禁止されている。
「お前たちのような女は絶対事故を起こす」
と。
となると、私たちの足がわりになるのは自転車なんだけれど、母の自転車を漕ぐスピードはめちゃめちゃ速い。
中学生の頃、私の通う学校は、長い坂を上りきったところにあったんだけど、当時、中学校のさらに先にあるロッテリアで働いていた母が自転車通勤をしていたのだが、あまりの猛スピードでスクーターなんて簡単に追い抜きながら学校の前を通るので、学校中の子たちが指を指して笑っていた。
「あれ、うちのお母さん……」
と言って、さらに笑われた。
近所の酒屋のおじさんにもよく
「あんたの母ちゃんはバイクより速いなあ。暴走族やが」
なんて、からかわれた。
母は、現在、62歳だが、相変わらずどこにゆくにも自転車に乗り、パワフルに生活している。骨年齢が20歳なのも、どうやら、自転車のおかげらしい。いつまでも、元気でいてほしいものである。